労働」カテゴリーアーカイブ

労働組合による個人情報管理/大塚達生(事務所だより2023年1月発行第66号掲載)

 最近、顧問契約を結んでいる複数の労働組合から、組合の個人情報管理規程の点検についてご依頼を受けることがありました。今回は、その点検作業をする中で気づいたことを書くことにします。

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 多数の組合員を擁する労働組合、特に企業内の過半数労働組合は、組合員の個人情報を、検索することができるように体系的に構成したデータベースの形で保有し(データをコンピューターで管理している場合は、ほぼこれに該当するはずです。)、それを組合活動の用に供していることと思います。
 そのような労働組合は、個人情報の保護に関する法律(以下「個人情報保護法」といいます。)に定める「個人情報取扱事業者」に該当するため、同法に定められた事項を遵守しなければなりません。
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労働組合の合同/大塚達生(事務所だより2022年1月発行第64号掲載)

 私は、弁護士として、いくつかの分野の仕事に携わっていますが、これまでの労働組合側の代理人活動の経験から、県内外の複数の労働組合(産業別連合体、企業グループ労連、企業別組合、職能別組合)と顧問契約を結んでいただき、労働組合の組織運営や労使問題に関するご相談を、日常的に受けています。
 最近は、企業のM&A(合併・買収)が盛んですので、それに伴う労働組合の合同について、組合からご相談を受けることもあります。昨年は、2件の大規模な組合合同手続で、仕事をさせていただきました。
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「男性版産休」(「出生時育児休業制度」)の意義と課題/嶋﨑量(事務所だより2021年8月発行第63号掲載)

1 はじめに

 2021年6月3日、男性の育児休業取得促進のために、新たに「出生時育児休業制度」創設などを内容とする、育児・介護休業法等改正法が成立しました(*1)。
 成立時、「男性版産休」制度が成立した等新聞各紙が報じ、遅々として進まぬ男性の育休取得促進の観点から好意的な報道が目立ちます。 続きを読む