人権」カテゴリーアーカイブ

「お酒を売るな!」の限界/山岡遥平(事務所だより2021年8月発行第63号掲載)

1 コロナ対策を見る視点

 コロナ禍で飲食店に対する規制が非常に強くなっています。みなさんも、外で食事をする機会が減ったり、仕事が終わって食事をしよう、と思っても店が閉まっている、という経験をしているのではないでしょうか。
 このような規制について、みなさんはどう考えるでしょうか?補償をしなければいけない?感染防止のためだから仕方がない? 続きを読む

労働事件における非弁行為/石渡豊正(事務所だより2021年8月発行第63号掲載)

 最近、社会保険労務士(以下、「社労士」と言います。)の非弁行為が疑われるケースをよく目にします。相談に来た労働者が「会社との面談で社労士から~と言われた」とか労働組合から「団体交渉に社労士が出てきている」などと報告を受けるといった具合です。
 非弁行為に該当するか否かは法律解釈も必要で微妙な話も含まれますので、今回は、非弁行為該当性に関する議論はせず、そもそもなぜ非弁行為が禁止されるのか、労働事件への社労士の関与が及ぼす影響等についてお話しします。 続きを読む

音楽家の苦難/野村和造(事務所だより2021年8月発行第63号掲載)

 昨年のことだが、Facebookの動画を開くと、立派なオーディオシステムから流れる美しい旋律。
 住職の方が檀家を訪問した際のレコード演奏の様子を録画したものなのだが、ついつい気になって、レコードの表示をよくみると、カリンニコフの交響曲第1番とグラズノフの交響曲第5番だった(YouTubeで確認すると、音楽はカリンニコフの第2楽章冒頭部)。 続きを読む

『奴隷』『工場』(小説・女工哀史)/山岡遥平(事務所だより2020年8月発行第61号掲載)

 『奴隷』『工場』は、「女工哀史」で知られる細井和喜蔵(1897-1925)の小説で、作者の死後、発表されたものだ。私は、この小説を岩波文庫版(2018年10月・12月発行)で読んだ。
 作者の死後、作者の十分な校正を経ないまま、1925年と1926年に世に出ているため、構成や展開の面で不十分な点があるのは否めないし、やや俗っぽいところが多いが、今だからこそ、読んで良かったと思える小説だった。

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