人権」カテゴリーアーカイブ

地方の衰退/石渡豊正(事務所だより2022年8月発行第65号掲載)

 日弁連は、2021年10月に「地方自治の充実により地域を再生し、誰もが安心して暮らせる社会の実現を求める決議」(日弁連ホームページ)(以下、「本件日弁連決議」と言います。)を発表しました。現代日本において地方の衰退が進む中、憲法等の観点からみた問題点やその改善策等について提言をまとめたものです。
 最近、上記決議が出された背景等について講演する機会があり、その背景事情等について少し勉強しましたので、その内容について紹介します。

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「両方の立場で考える」必要があるのか。/田中誠(事務所だより2022年8月発行第65号掲載)

 この4月にNHKニュースを見ていると、ロシアのウクライナ侵攻について早稲田大学の国際法サークルの学生さんたちが模擬裁判をしたという。
 国際司法裁判所を舞台に、ロシア・ウクライナそれぞれの立場で争うという設定だった。ニュース映像では、傍聴したという勉強ができそうな学生さんが「両方の立場に立って考えてみたかった。感情的にならずにまとめる云々」と語っていた。また、主催者側の、優秀そうな学生さんが「善悪で切り取るのでは無くて云々」と語っていた。  続きを読む

「多様性」の学び方/青柳拓真(事務所だより2021年8月発行第63号掲載)

 私は10代のうち7年間をシンガポールで過ごしました。「シンガポールに青春を捧げた」などと冗談めかして言っていますが、シンガポールに行っていなければ今の自分はないと断言できるほど、大きな影響を受けた場所です。
 新型コロナウイルスの影響で、事務所の関係者の方々と交流できる機会が皆無な現状(同期の弁護士ですら直接会ったことがあるのはまだ2人だけです。)ですので、自己紹介も兼ねて、シンガポールでの生活とその社会の「多様性」について書いてみたいと思います。 続きを読む

「お酒を売るな!」の限界/山岡遥平(事務所だより2021年8月発行第63号掲載)

1 コロナ対策を見る視点

 コロナ禍で飲食店に対する規制が非常に強くなっています。みなさんも、外で食事をする機会が減ったり、仕事が終わって食事をしよう、と思っても店が閉まっている、という経験をしているのではないでしょうか。
 このような規制について、みなさんはどう考えるでしょうか?補償をしなければいけない?感染防止のためだから仕方がない? 続きを読む

労働事件における非弁行為/石渡豊正(事務所だより2021年8月発行第63号掲載)

 最近、社会保険労務士(以下、「社労士」と言います。)の非弁行為が疑われるケースをよく目にします。相談に来た労働者が「会社との面談で社労士から~と言われた」とか労働組合から「団体交渉に社労士が出てきている」などと報告を受けるといった具合です。
 非弁行為に該当するか否かは法律解釈も必要で微妙な話も含まれますので、今回は、非弁行為該当性に関する議論はせず、そもそもなぜ非弁行為が禁止されるのか、労働事件への社労士の関与が及ぼす影響等についてお話しします。 続きを読む