人権」カテゴリーアーカイブ

『奴隷』『工場』(小説・女工哀史)/山岡遥平(事務所だより2020年8月発行第61号掲載)

 『奴隷』『工場』は、「女工哀史」で知られる細井和喜蔵(1897-1925)の小説で、作者の死後、発表されたものだ。私は、この小説を岩波文庫版(2018年10月・12月発行)で読んだ。
 作者の死後、作者の十分な校正を経ないまま、1925年と1926年に世に出ているため、構成や展開の面で不十分な点があるのは否めないし、やや俗っぽいところが多いが、今だからこそ、読んで良かったと思える小説だった。

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顧客等によるハラスメント/大塚達生(事務所だより2020年1月発行第60号掲載)

 昨年10月、京都で開催された日本労働法学会第136回大会において、ワークショップの一つに報告者の1人として参加させていただきました。テーマは「顧客等によるハラスメントと法的課題」でした。
 これは、一部の顧客等の迷惑行為によって、接客業務に従事している労働者の尊厳や人格権が侵害されている問題です。「カスタマーハラスメント」と呼ばれることもあります。

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「出る杭は打たれ」続けるのか/鵜飼良昭(事務所だより2019年8月発行第59号掲載)

*『出る杭は打たれる』

 今私の手元に『出る杭は打たれる』(岩波現代文庫、2002年)という本がある。

 著者は、アンドレ・レノルというフランスの神父さん。アンドレさんは、労働司祭になるため職業訓練を受け、フライス工の資格を取って1970年に来日した。1991年5月に離日するまで21年の大半を、川崎の下請け零細企業で労働者とともに働き生活した。そして、自ら労災事故にあったり労働組合を作ったりした。
 アンドレさんの当初の目標は、労働者の生活の実態や精神構造を彼らの懐に入って理解すること、であった。 続きを読む

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黙秘/山岡遥平(事務所だより2019年1月発行第58号掲載)

 皆さんは、刑事事件の被疑者・被告人の黙秘について、どうお考えでしょうか。

 真実を語らないなんてけしからん、反省していない、しゃべらないのは疚しいことがあるからに違いない、そう思われる方もいらっしゃるかと思います。私も、弁護士でなかったらそう考えていたかもしれません。

 黙秘が理解を得にくい背景には、やはり、刑事事件という、社会的な「悪」やひずみが顕在化した刑事事件における、「悪」と名指された側の防御手段であるということがあるでしょう。しかし、再審請求がされた袴田事件のように、本当ではない自白をしてしまうこともあるのです。
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