人権」カテゴリーアーカイブ

「出る杭は打たれ」続けるのか/鵜飼良昭(事務所だより2019年8月発行第59号掲載)

*『出る杭は打たれる』

 今私の手元に『出る杭は打たれる』(岩波現代文庫、2002年)という本がある。

 著者は、アンドレ・レノルというフランスの神父さん。アンドレさんは、労働司祭になるため職業訓練を受け、フライス工の資格を取って1970年に来日した。1991年5月に離日するまで21年の大半を、川崎の下請け零細企業で労働者とともに働き生活した。そして、自ら労災事故にあったり労働組合を作ったりした。
 アンドレさんの当初の目標は、労働者の生活の実態や精神構造を彼らの懐に入って理解すること、であった。 続きを読む

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黙秘/山岡遥平(事務所だより2019年1月発行第58号掲載)

 皆さんは、刑事事件の被疑者・被告人の黙秘について、どうお考えでしょうか。

 真実を語らないなんてけしからん、反省していない、しゃべらないのは疚しいことがあるからに違いない、そう思われる方もいらっしゃるかと思います。私も、弁護士でなかったらそう考えていたかもしれません。

 黙秘が理解を得にくい背景には、やはり、刑事事件という、社会的な「悪」やひずみが顕在化した刑事事件における、「悪」と名指された側の防御手段であるということがあるでしょう。しかし、再審請求がされた袴田事件のように、本当ではない自白をしてしまうこともあるのです。
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弁護士への大量不当懲戒請求/嶋﨑量(事務所だより2019年1月発行第58号掲載)

 弁護士への大量不当懲戒請求が報道されていますが、私自身もこの被害者の一人です。2017年11月以降、同一理由で958件もの大量の懲戒請求を受けています。

 これに対しては、私が原告となり、2018年11月以降、懲戒請求者に対する民事訴訟を提起しており(*1)(事前の和解に応じない懲戒請求者は、順次全員を提訴予定)、この件も各種メディアで報道されました。ご依頼者含め報道をみた皆さまから、お気遣の言葉をお掛けいただきました。ご心配をお掛けして申し訳ありません。この場を借りて、少し背景など説明をさせていただきます。

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「高等教育無償化」とは何か/西川治(事務所だより2018年1月発行第56号掲載)

 最近、「高等教育無償化」が政策課題として浮上し、注目を集めるようになっています。
 しかし、残念ながら日本ではこれまであまり注目されてこなかったテーマでもあります。

 今回は「高等教育無償化」について取り上げます。

    「高等教育」に高校は含まない!

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アメイジング・グレイス /野村和造(事務所だより2013年8月発行第47号掲載)

news201308_small 夜中についテレビをつけると,英国議会のようなところで、青年政治家が奴隷貿易反対の演説をしていました。「アメイジング・グレイス」という2007年に公開された映画。英国議会の奴隷貿易廃止決議200年ということで作られたとのことでした。
 映画に出てくる主人公は、ハンサムな青年政治家、ウィリアム・ウィルバーフォース (1759-1833)。「アメイジング・グレイス」の作詞者、奴隷貿易船の元船長でその罪を悟って牧師となったジョン・ニュートンではありません。
 映画は少々史実と違うところがあるようですが、インターネット情報を総合すると、ほぼ次のようなものと思われます。


  18世紀、英国のリヴァプール、ブリストル等から武器・商品をアフリカに輸出し、そこで黒人奴隷と交換し、西インド諸島やアメリカ植民地に運び砂糖やラム酒、タバコ・米と交換して、それをイギリスに持ち込むという三角貿易が発展しました。
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