教育と子ども・若者」カテゴリーアーカイブ

大学等修学支援制度の課題/西川治(事務所だより2024年1月発行第68号掲載)

 住民税非課税世帯やこれに準ずる世帯に対し、大学等の入学金・授業料免除と奨学金の給付をセットで行う大学等修学支援制度のスタートからまもなく4年が経過しようとしています(*1)。
 同制度の導入により低所得世帯出身者や児童養護施設で育った子への支援は大幅に充実しました。 しかし、この制度を利用する学生や、この制度を利用して進学しようとする高校生、その親の相談を受けていると、やはり課題があると言わざるを得ません。
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「出産で奨学金減免」をどうみるか/西川治(事務所だより2023年8月発行第67号掲載)

 自民党で議論されているという「出産したら奨学金減免」という制度について、かなり批判が強いようです。
 今回は、この「出産したら奨学金減免」制度を取り上げます。
 まず、私はこの制度には賛成ですし、むしろこれまでこういった仕組みがなかった(猶予=先送りのみ)ことがおかしいくらいだと考えています。
 他方、奨学金の返還免除を餌に子どもを産ませようという発想であれば軽薄であり、また「異次元」(の少子化対策)と呼ぶにはあまりに貧弱であると考えています。 続きを読む

奨学金の「過大請求」その後/西川治(事務所だより2022年1月発行第64号掲載)

 奨学金制度を実施する日本学生支援機構(旧・日本育英会。以下「機構」といいます。)の保証人に対する「過大請求」について、たよりNo.58(*1)で取り上げました。
 簡略に述べると、機構の奨学金制度では(機関保証を除き)連帯保証人と保証人各1人が必要とされ、本人が返せないと連帯保証人は全額返済する義務を負いますが、保証人は「分別の利益」(民法456条)により半額返せば残りは返済不要です(返済義務は2分の1のみ)。ところが、機構は保証人にも全額を返すよう請求し、保証人の多くは全額支払う義務があると思い、既に全部支払ってしまった人もいるという問題です。 続きを読む