「給特法」と呼ばれる法律をご存じでしょうか。
給特法により公立学校の教員は、他の労働者とは異なり残業代が支払われません。
給特法では、給料月額の4%相当の教職調整額を支給する代わり、時間外勤務手当及び休日勤務手当は支給しないとされ、いわゆる超勤4項目(①校外実習等、②学校行事、③職員会議、④非常災害等)を除き時間外労働を命じることはできない建前になっています。にもかかわらず、現実には教員の「自発性」による業務遂行とされ、部活動指導等で恒常的に発生する時間外勤務を「労働」とすら取り扱われず、時間外労働が常態化しているのです。
「労働」カテゴリーアーカイブ
顧客等によるハラスメント/大塚達生(事務所だより2020年1月発行第60号掲載)
昨年10月、京都で開催された日本労働法学会第136回大会において、ワークショップの一つに報告者の1人として参加させていただきました。テーマは「顧客等によるハラスメントと法的課題」でした。
これは、一部の顧客等の迷惑行為によって、接客業務に従事している労働者の尊厳や人格権が侵害されている問題です。「カスタマーハラスメント」と呼ばれることもあります。
使用者にとってのワークルール教育/石渡豊正(事務所だより2019年8月発行第59号掲載)
先日、日本労働弁護団のワークルールPTの活動の一環として、中小企業経営者で組織する中小企業家同友会全国協議会(以下、「中同協」と言います。)の方々とお話する機会がありました。
中同協は、47都道府県の中小企業家同友会の協議体で、設立は1969年11月、会員数は約47,000人(2019年4月現在)です。会員経営者同士の経験交流を主体にした月例会を活動の基本とする団体ですが、その他にも正規雇用を広げることを目的にJobwayという就職情報サイトを運営したり、社員をパートナーとして経営者と社員が共に育ちあう企業を目指す新人社員研修・幹部社員研修などを開催しています(ホームページhttps://www.doyu.jp/より)。
労働法の意義を見つめ直す/嶋﨑量(事務所だより2019年8月発行第59号掲載)
厚生労働省の「雇用類似の働き方に係る論点整理等に関する検討会」(鎌田耕一座長)は、2019年6月28日に「中間整理」を発表しました。ここでは、労働基準法上の労働者性が認められない者に対する労働政策上の保護の在り方を検討しており、個人事業主であって、労働者と類似した働き方をする者を中心に、保護のあり方を検討するとされています。
古くから、運送業、エステ、保険外交員、建設作業員、集金人などは、個人事業主扱いとされる方が多く、問題となってきました。
近時は、政府の兼業・副業の推進も相まって、インターネットを通じたクラウドワーカーなども拡がっています。ニュースに目を向けても、芸能人(多くは労働者ではない働き方とされている)について、トラブル等を契機に簡単に契約が打ち切られ、その契約形態が注目されています。
過労死等防止対策推進シンポジウム/野村和造(事務所だより2019年8月発行第59号掲載)
全国過労死を考える家族の会の人たちの大変な努力の中で、超党派で過労死等防止対策推進法が成立し、2014年11月1日から施行されました。そのもとで、厚生労働省主催の過労死等防止対策推進シンポジウムが各地で毎年開かれています。
昨年11月の神奈川でのシンポジウムでは、岡田康子さんの「パワーハラスメントを防止するために」と労働安全衛生研究所の高橋正也さんの「働く人はぐっすり眠らなければならない」の講演がありましたが、九州からいらしたAさん(家族の会)の発言は、特別に心に残りました。
ご本人の承諾を得ましたので、ご紹介します。