新型コロナ禍ならでは?/嶋﨑量(事務所だより2020年8月発行第61号掲載)

 新型コロナウイルス感染拡大により、感染された方にとどまらず、様々な社会活動が大きく制約をうけ、多方面に甚大な被害が発生しています。
 そんな中でも、敢えて前向きに探せば、「良かったこと」もあります。私が関わっている労働運動でいえば、Web会議やSNS等の活用が一気に拡がったことがあげられるでしょう。
 私たちの事務所と繋がりの深い労働組合などでも、これまで実施してきた学習会・集会などが中止せざるを得ない状況が続いているかと思います。
 ですが、Web会議システムなどを活用した集会などは、遠方に居住している、仕事が忙しい、介護、育児など家庭責任等の負担から参加が難しかった方をも対象に拡げて企画ができる可能性を感じます。
 雑ぱくですが、いくつか私の関わった活動・取り組みなどをご紹介します。

1 新型コロナ禍における妊婦さんの労働者保護の取り組み

 妊娠中の女性医師がTwitterで妊婦さんの声を集め、妊娠中の医療従事者への感染拡大対策等を訴えネット署名を集めていました。
 私がその活動を知りTwitterで署名を呼びかけ、さらにはYahoo!ニュース個人「新型コロナから妊婦さんを護れ!さらなる感染対策・補償の実現を!」(4月27日配信)(*1)を執筆していたのが契機となり、活動へのサポートを依頼されました。
 これをうけ、労働弁護団主催のWeb記者会見を設定し、3名の働く妊婦さんに全国からウェブ上に集まってもらい、当事者の声をメディアに伝えました。約20のテレビ・新聞・雑誌などメディアが参加し、NHK含め大きく報道されました。
 この会見に参加してくれた妊婦さんは、いずれも私がTwitter上でこの問題について発信している当事者を見つけ、Twitter上で連絡をとり、記者会見への参加を依頼した方々でした。
 こんな時期だからこそ、SNSを通じた繋がりで全国から記者会見で発言する当事者を集めることができたのは、良い経験になりました。当事者参加型の集会などでも、全国から多くの当事者の声を拾い上げるため、今後も活用できると思います。
 なお、本年5月7日から、政府は、事業主に対して妊娠中の労働者から保健指導又は健康診査に基づき指導を受けた旨の申出があった場合、当該指導に基づき、出勤の制限等の必要な措置を講ずる必要があるとされるなど、取組みの成果も出ています。

2 Web会議

 私自身が関わる、あらゆる会議がWeb会議となりました。これにより、これまでは連日のように横浜・都内を往復していた時間が削減されました。移動時間削減のメリットは大きいですし、多くの会議では会議参加者も増えました(自宅などから参加できるのも大きいです。)。
 また、会議自体も資料配付などで手間取ることもなく密度が濃くなり、短時間で終わるようになりました。
 もちろん、細かい意思疎通が難しいなどのデメリットもありますが、こういった会議形態はコロナ収束後も完全に消えることはないでしょう。

3 Web会議システムを利用した相談体制

 海外含め遠方に居住する相談者、多人数の方が参加する労働組合の会議(遠方の支部からの参加など)も、会議の設定が容易になりました。
 これまでより、むしろ気軽に打合せができ意思疎通が図れているケースもあります。

4 Webセミナー

 私自身、いくつかの企画をし、講師・登壇者としても参加しましたが、とても便利です。会場手配は不要で、企画から実現までも素早く実現できるのも良いです(講師依頼など、関心ある方は気軽にお声かけください。)。
 たとえば、私が発案して講師も担当した本年5月6日開催の日本労働弁護団主催「コロナ労働問題連続学習会(休業補償・休業手当)」は全国から332人の方に参加していただきました。全国から参加していただけるのは運動を拡げる上では大きなメリットです。
 また、7月18日には、内田良先生(名古屋大学准教授)、工藤祥子さん(神奈川過労死家族の会)、斉藤ひでみさん(現職教員)と一緒に企画したWebセミナー「コロナ禍の子どもの教育と教員の働き方改革を問う」では、事前申込1100名、ライブ視聴者750名(YouTube+Zoom)の方に参加していただきました(*2)。

*1 それ以外にも、Yahoo!ニュース個人で新型コロナ関連の以下の記事を執筆し、Yahoo!に現在も掲載されています。関心ある方はご覧ください(当事務所HPからもたどれます)。

*2 この企画は、YouTubeで動画を公開しているのでさらに視聴者は増えています。関心ある方、是非ご視聴ください