教育と子ども・若者」カテゴリーアーカイブ

コロナ禍の「やりがいの搾取」/嶋﨑量(事務所だより2021年1月発行第62号掲載)

 「やりがいの搾取」という言葉が世間に周知されたのは、本田由紀教授(東京大学)による分析が契機です(*1)。
 今年、内田良准教授(名古屋大学)、工藤祥子さん(過労死家族の会)、齊藤ひでみさん(高校教員)と「みんなの学校安心プロジェクト」を立ち上げ、教員の労働問題をテーマに連続でオンラインイベントを企画してきました。そこに本田教授にもご登壇いただいきましたが(「教員の働き方改革は『やりがい搾取』か?」)大盛況でした(*2)。

続きを読む

新型コロナ禍ならでは?/嶋﨑量(事務所だより2020年8月発行第61号掲載)

 新型コロナウイルス感染拡大により、感染された方にとどまらず、様々な社会活動が大きく制約をうけ、多方面に甚大な被害が発生しています。
 そんな中でも、敢えて前向きに探せば、「良かったこと」もあります。私が関わっている労働運動でいえば、Web会議やSNS等の活用が一気に拡がったことがあげられるでしょう。
 私たちの事務所と繋がりの深い労働組合などでも、これまで実施してきた学習会・集会などが中止せざるを得ない状況が続いているかと思います。
 ですが、Web会議システムなどを活用した集会などは、遠方に居住している、仕事が忙しい、介護、育児など家庭責任等の負担から参加が難しかった方をも対象に拡げて企画ができる可能性を感じます。
 雑ぱくですが、いくつか私の関わった活動・取り組みなどをご紹介します。
続きを読む

「高等教育無償化」新制度~「看板に偽りあり」だが大事な一歩~/西川治(事務所だより2020年1月発行第60号掲載)

 2020年4月から「高等教育の無償化」がスタートします。
 昨年5月に法律が可決されたときは、「高等教育無償化」法成立として取り上げられ、その後も関連する報道がなされていますから、特にこれから大学や専門学校への進学を控えるお子さんがいるご家庭を中心に、関心のお持ちの方も多いでしょう。
 この法律は、正式には「大学等における修学の支援に関する法律」といいます。今回は、この法律やこれに基づく新制度の内容、課題などについて取り上げます。

続きを読む

「給特法」を考えよう/嶋﨑量(事務所だより2020年1月発行第60号掲載)

 「給特法」と呼ばれる法律をご存じでしょうか。
 給特法により公立学校の教員は、他の労働者とは異なり残業代が支払われません。
 給特法では、給料月額の4%相当の教職調整額を支給する代わり、時間外勤務手当及び休日勤務手当は支給しないとされ、いわゆる超勤4項目(①校外実習等、②学校行事、③職員会議、④非常災害等)を除き時間外労働を命じることはできない建前になっています。にもかかわらず、現実には教員の「自発性」による業務遂行とされ、部活動指導等で恒常的に発生する時間外勤務を「労働」とすら取り扱われず、時間外労働が常態化しているのです。

続きを読む

サマーキャンプ中止問題、無事解決!~旅行業法施行要領が改正~/西川治(事務所だより2019年8月発行第59号掲載)

 たより55号(2017年9月発行)で取り上げたサマーキャンプ中止問題について、原因となっていた旅行業法違反の旅行業法施行要領が改正され、同様の事態が今後起こる心配はほぼなくなりました。

*サマーキャンプ中止問題とは

 2017年夏に、川崎市内の小中学生を対象にしたサマーキャンプ(主催・川崎市教育委員会等で構成する実行委員会)が、「旅行業法に抵触する」という理由で中止に追い込まれたものです。
 このサマーキャンプは1990年から毎夏行われ、長野県、和歌山県など各地で地元の子どもたちと交流しながら自然体験活動を行うというもので、この夏も81人が参加予定でした。
 同様の事例は、神奈川県平塚市、二宮町、開成町などをはじめ、全国各地で発生しました。

続きを読む