6月1日、「入学金調査プロジェクト」の企画(*1)に参加しました。
与えられた課題は、学納金返還訴訟(最判平18.11.27民集60-9-3437ほか)を踏まえ、入学金の「二重払い」(入学しない大学にも入学金を納めないといけない問題)を何とかできないか、というものです。
「教育と子ども・若者」カテゴリーアーカイブ
東京大学の授業料値上げと授業料免除拡大をどうみるか/西川治(事務所だより2025年1月発行第70号掲載)
2024年9月24日、東京大学は「授業料改定及び学生支援の拡充について」と題する文書を発表して(*1)、2025年度学部入学者から、授業料を642,960円(*2)に改定するとともに、全額授業料免除の対象者を「世帯収入400万円以下」から「世帯収入600万円以下」に拡大することを発表しました。
あわせて、修士・専門職学位課程についても2029年度入学者から同様に授業料を引き上げるとともに、国立大学法人化前と同様の基準を用いている全額授業料免除の対象を「世帯収入600万円以下」に拡大すると発表しています。
なお、博士課程については、国立大学法人化時の520,800円を今後も維持するとしています。
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大学等修学支援制度の課題/西川治(事務所だより2024年1月発行第68号掲載)
住民税非課税世帯やこれに準ずる世帯に対し、大学等の入学金・授業料免除と奨学金の給付をセットで行う大学等修学支援制度のスタートからまもなく4年が経過しようとしています(*1)。
同制度の導入により低所得世帯出身者や児童養護施設で育った子への支援は大幅に充実しました。 しかし、この制度を利用する学生や、この制度を利用して進学しようとする高校生、その親の相談を受けていると、やはり課題があると言わざるを得ません。
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「出産で奨学金減免」をどうみるか/西川治(事務所だより2023年8月発行第67号掲載)
自民党で議論されているという「出産したら奨学金減免」という制度について、かなり批判が強いようです。
今回は、この「出産したら奨学金減免」制度を取り上げます。
まず、私はこの制度には賛成ですし、むしろこれまでこういった仕組みがなかった(猶予=先送りのみ)ことがおかしいくらいだと考えています。
他方、奨学金の返還免除を餌に子どもを産ませようという発想であれば軽薄であり、また「異次元」(の少子化対策)と呼ぶにはあまりに貧弱であると考えています。 続きを読む
奨学金の「過大請求」その後のその後/西川治(事務所だより2023年1月発行第66号掲載)
奨学金制度を実施する日本学生支援機構(旧・日本育英会。以下「機構」といいます。)の保証人に対する「過大請求」について、たより58、64で取り上げました(*1)。