たより第54号(2017年1月発行)とたより第58号(2019年1月発行)で、私たちが訴訟に取り組んでいる構造スリット欠落問題について、ご紹介しました。本稿は、その続きです。以前書いた文章の繰り返しとなる部分もあること、お許しください。
たより第54号(2017年1月発行)とたより第58号(2019年1月発行)で、私たちが訴訟に取り組んでいる構造スリット欠落問題について、ご紹介しました。本稿は、その続きです。以前書いた文章の繰り返しとなる部分もあること、お許しください。
第5次厚木基地騒音訴訟において、原告らは、防衛大臣が自衛隊機を運航させ続ける決断(行政処分)をしていることについて、裁判所が、その判断過程に合理性があるか否かを仔細に検討するべきだとの主張を展開しています。第5次訴訟でこのような主張を展開することとなったのは、第4次訴訟の最高裁判決における、あまりにも杜撰で、実質的には司法審査の放棄とも言い得るような判断を受けてのことです。
2017年1月発行のたより第54号で、発見しにくい建物の欠陥の例として、私たちが訴訟に取り組んでいる構造スリット欠落問題について、ご紹介しました。今回は、その続報です。
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まずは、おさらいです。
建築物が地震や風圧等による水平力に対応する構造の一つとして、柱と梁で構成されるフレームの変形能力によって対応するという構造(耐震壁を設けない純ラーメン構造)があります。 続きを読む
昨年は6月と10月に労働事件に関する判決言い渡しを受けました。
6月の判決の争点は、長時間に及ぶ時間外労働の存否と固定残業手当の有効性でした。また、10月の判決は有期雇用労働者の雇止めの事件で、労働契約法19条1号又は2号の適否が争点でした。
6月の判決については、時間外労働時間数が多少削られたものの、固定残業手当は残業代の支払いとは認められないという原告の主張が認められました。
10月の判決では、労働契約法19条1号が適用され、雇止めは無効との判断
がなされました。
いずれの事件においても、原告の主張が概ね認められ、原告と共に喜び、安堵しました。 続きを読む
先日(平成27年7月30日)控訴審判決が言い渡された第4次厚木基地騒音訴訟では、将来の損害賠償請求が認められるか否かという点が一つの大きな争点となっています。
民事訴訟法135条は「将来の給付を求める訴えは、あらかじめその請求をする必要がある場合に限り、提起することができる。」と規定しており、これが将来の給付の訴えの根拠規定となっています。
金銭等の給付(引渡・明渡等)を求める給付の訴えには、現在の給付の訴えと将来の給付の訴えがあります。
現在の給付の訴えとは、口頭弁論終結の時点において履行を求めることができる状態にある請求権について認容判決を求めるものです。
それに対し、将来の給付の訴えとは、口頭弁論終結の時点においては未だ履行を求めることができる状態にまでは至っていない給付請求権について予め認容判決を求めるもので、「あらかじめその請求をする必要がある場合に限り」認められます。 続きを読む