裁判」カテゴリーアーカイブ

マンション建物の欠陥に関する訴訟の原告/大塚達生(事務所だより2022年8月発行第65号掲載)

 分譲販売されたマンションの建物に欠陥が見つかり、購入後の区分所有者全員で構成される管理組合が、欠陥の補修や損害賠償を求めて、分譲販売を行った企業や建設工事を行った企業と交渉することがあります。
 交渉では解決に至らず、損害賠償請求訴訟を起こす必要がある場合、誰を原告にすればよいでしょうか。
 躯体、共用廊下、階段、ベランダなどの共用部分や共有の附属施設(以下、合わせて「共用部分等」といいます。)に欠陥がある場合と、独立した個々の住戸の部分である専有部分に欠陥がある場合とでは、結論が異なります。 続きを読む

裁量処分に対する判断過程審査-第5次厚木基地騒音訴訟-/石渡豊正(事務所だより2019年1月発行第58号掲載)

 第5次厚木基地騒音訴訟において、原告らは、防衛大臣が自衛隊機を運航させ続ける決断(行政処分)をしていることについて、裁判所が、その判断過程に合理性があるか否かを仔細に検討するべきだとの主張を展開しています。第5次訴訟でこのような主張を展開することとなったのは、第4次訴訟の最高裁判決における、あまりにも杜撰で、実質的には司法審査の放棄とも言い得るような判断を受けてのことです。

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マンション欠陥訴訟奮闘記/大塚達生(事務所だより2019年1月発行第58号掲載)

 2017年1月発行のたより第54号で、発見しにくい建物の欠陥の例として、私たちが訴訟に取り組んでいる構造スリット欠落問題について、ご紹介しました。今回は、その続報です。

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 まずは、おさらいです。
 建築物が地震や風圧等による水平力に対応する構造の一つとして、柱と梁で構成されるフレームの変形能力によって対応するという構造(耐震壁を設けない純ラーメン構造)があります。 続きを読む

訴訟代理人になるということ/石渡豊正(事務所だより2016年1月発行第52号掲載)

news201601s 昨年は6月と10月に労働事件に関する判決言い渡しを受けました。
  6月の判決の争点は、長時間に及ぶ時間外労働の存否と固定残業手当の有効性でした。また、10月の判決は有期雇用労働者の雇止めの事件で、労働契約法19条1号又は2号の適否が争点でした。
  6月の判決については、時間外労働時間数が多少削られたものの、固定残業手当は残業代の支払いとは認められないという原告の主張が認められました。
 10月の判決では、労働契約法19条1号が適用され、雇止めは無効との判断
がなされました。
  いずれの事件においても、原告の主張が概ね認められ、原告と共に喜び、安堵しました。 続きを読む