使用者の義務違反によって労働災害(労災)が発生した場合、労災保険による補償とは別に、使用者には、被災労働者に対する損害賠償責任が発生します。この使用者の損害賠償責任には、債務不履行に基づく責任と不法行為に基づく責任の2種類があります。
「法改正」カテゴリーアーカイブ
「給特法」を考えよう/嶋﨑量(事務所だより2020年1月発行第60号掲載)
「給特法」と呼ばれる法律をご存じでしょうか。
給特法により公立学校の教員は、他の労働者とは異なり残業代が支払われません。
給特法では、給料月額の4%相当の教職調整額を支給する代わり、時間外勤務手当及び休日勤務手当は支給しないとされ、いわゆる超勤4項目(①校外実習等、②学校行事、③職員会議、④非常災害等)を除き時間外労働を命じることはできない建前になっています。にもかかわらず、現実には教員の「自発性」による業務遂行とされ、部活動指導等で恒常的に発生する時間外勤務を「労働」とすら取り扱われず、時間外労働が常態化しているのです。
顧客等によるハラスメント/大塚達生(事務所だより2020年1月発行第60号掲載)
昨年10月、京都で開催された日本労働法学会第136回大会において、ワークショップの一つに報告者の1人として参加させていただきました。テーマは「顧客等によるハラスメントと法的課題」でした。
これは、一部の顧客等の迷惑行為によって、接客業務に従事している労働者の尊厳や人格権が侵害されている問題です。「カスタマーハラスメント」と呼ばれることもあります。
相続法が変わりました/山岡遥平(事務所だより2019年8月発行第59号掲載)
この1月と7月から相続法が一部変わっています。みなさんはご存知でしょうか。意外と身近な問題にも関わるので、ぜひチェックしてみて下さい。
なお、以下の内容は、今年の3月に行った事務所セミナーの内容とも重複します。追って事務所のホームページに掲載される内容もご参照下さい。
①自筆証書遺言の方式の緩和(2019年1月13日施行)
これまで、自筆証書遺言は、全文、日付、氏名を自筆し、押印しなければならず、不動産の表示など、全て列挙するのが大変でした。 続きを読む
入管法改正 国会審議から考える/鵜飼良昭(事務所だより2019年1月発行第58号掲載)
入管法案の強行採決
昨年末の臨時国会ではいくつかの重要法案が十分な議論なしに成立したが、中でも出入国管理法改正は酷いものであった。
この法案は新たな在留資格(特定技能1号と特定技能2号)を設けて外国人労働者の受入れを拡大しようとするもので、従来の政策の大転換であったが、内容のほとんどを省令等に委任し本質の審議が深まらないまま強行採決された。 続きを読む