建築・不動産」カテゴリーアーカイブ

マンション欠陥訴訟奮闘記/大塚達生(事務所だより2019年1月発行第58号掲載)

 2017年1月発行のたより第54号で、発見しにくい建物の欠陥の例として、私たちが訴訟に取り組んでいる構造スリット欠落問題について、ご紹介しました。今回は、その続報です。

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 まずは、おさらいです。
 建築物が地震や風圧等による水平力に対応する構造の一つとして、柱と梁で構成されるフレームの変形能力によって対応するという構造(耐震壁を設けない純ラーメン構造)があります。 続きを読む

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貸し手と借り手どちらの責任/大塚達生(事務所だより2018年9月発行第57号掲載)

 今年に入り、不動産会社スマートデイズ(東京都)によるシェアハウスのサブリース事業の破綻が、様々に報道されています。

 同社は、トイレや浴室が共用の賃貸住宅(「かぼちゃの馬車」というブランド名の女性専用シェアハウス)を次々と建て、家賃収入を得られる投資物件として販売し、購入者(オーナー)との間でサブリース契約を結んでいました(同社が一括借り上げして家賃収入を保証するという仕組みです)。
 購入者は、銀行から購入代金の融資を受け、スマートデイズ社から入る家賃で融資の返済を行う予定でした。自己資金ゼロで不動産投資ができて、長期の賃料収入が約束されるという投資モデルでした。購入者への融資を次々と積極的に行っていたのは、スルガ銀行でした。 続きを読む

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構造スリットをご存じですか/大塚達生(事務所だより2017年1月発行第54号掲載)

    昨年の事務所だよりにも書きましたが、一昨年秋、横浜市都筑区の大規模マンションで、基礎杭の一部が地盤の支持層に届いておらず、しかも基礎杭の施工報告書にデータの転用・加筆があったという出来事が、大きく報道されました。
 一連の報道によれば、この基礎杭の重大な欠陥が発覚した契機は、住民の方が、棟と棟の接続部の廊下の手すりに「ズレ」を発見したことにあったそうです。
    つまり基礎杭の欠陥の存在を示す現象が、目に見える形で現れていたということになります。
 このように欠陥の存在を示す現象が表に現れてる建物の場合は、欠陥を発見しやすいのですが(勿論それを見逃さなかった住民の方のおかげです。)、中には、外からは発見しづらい重大な欠陥を抱えている建物もあります。
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欠陥建築問題-どうして素直に欠陥を認めないのか-/大塚達生(事務所だより2016年1月発行第52号)

    昨年秋、横浜市都筑区の大規模マンションで、基礎杭の一部が地盤の支持層に届いておらず、しかも基礎杭の施工報告書にデータの転用・加筆があったという問題が、大きく報道されました。
 そして、この物件、この施工会社にとどまらず、他の物件や他社の工事でも、基礎杭の施工報告書でデータの流用や改ざんが横行していることが、次々と報道されました。
 基礎杭は、マンション建物の「構造耐力上主要な部分」であり、「建築物の自重若しくは積載荷重、積雪荷重、風圧、土圧若しくは水圧又は地震その他の震動若しくは衝撃を支えるもの」です(建築基準法施行令1条3号)。居住者等の生命、身体、財産の安全を、建築物の最下部で支えていることになりますので、そのような部分の欠陥は究極の欠陥であるともいえます。
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欠陥建築問題-表に現れていない欠陥の怖さ-/大塚達生(事務所だより2012年1月第44号)

news201201_small 「工務店に建物の建築を依頼し、建物が完成して住み始めたのだけれど、建物に欠陥があるので相談したい。」といった法律相談の申込が、ときどきあります。このような場合、相談者の方は、欠陥であると思う何らかの現象を、目視したり体感しているものです。例えば、雨漏り、床の傾き、結露などがそうです。

 しかし、建物の欠陥は、このように現象が表面化したものに限定されません。表面化したものをきっかけとして専門家が建物を調査すると、今まで現象として現れてはいなかった欠陥が発見されることがあります。
  例えば、(1)木造建物の軸組、耐力壁、水平構面、基礎などにおける構造耐力上の不備、(2)防火・耐火の不備などです。

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