月別アーカイブ: 2021年8月

「多様性」の学び方/青柳拓真(事務所だより2021年8月発行第63号掲載)

 私は10代のうち7年間をシンガポールで過ごしました。「シンガポールに青春を捧げた」などと冗談めかして言っていますが、シンガポールに行っていなければ今の自分はないと断言できるほど、大きな影響を受けた場所です。
 新型コロナウイルスの影響で、事務所の関係者の方々と交流できる機会が皆無な現状(同期の弁護士ですら直接会ったことがあるのはまだ2人だけです。)ですので、自己紹介も兼ねて、シンガポールでの生活とその社会の「多様性」について書いてみたいと思います。 続きを読む

「お酒を売るな!」の限界/山岡遥平(事務所だより2021年8月発行第63号掲載)

1 コロナ対策を見る視点

 コロナ禍で飲食店に対する規制が非常に強くなっています。みなさんも、外で食事をする機会が減ったり、仕事が終わって食事をしよう、と思っても店が閉まっている、という経験をしているのではないでしょうか。
 このような規制について、みなさんはどう考えるでしょうか?補償をしなければいけない?感染防止のためだから仕方がない? 続きを読む

法科大学院とは何だったのか/西川治(事務所だより2021年8月発行第63号掲載)

 私は、代議士秘書を辞した後、ある国立大の法科大学院(以下、「LS」)に入学し、司法試験後に中退するまで2年半在籍しました。
 私の同期は、同じ未修者(*1)が24名、1年遅れで入学した既修者が4名。うち修了者は18名ですが、司法試験に合格したのは3名のみです。司法試験の受験回数は5回までに制限されており、令和2年度を最後に受験資格を失ったことになります(*2)。 続きを読む

労働事件における非弁行為/石渡豊正(事務所だより2021年8月発行第63号掲載)

 最近、社会保険労務士(以下、「社労士」と言います。)の非弁行為が疑われるケースをよく目にします。相談に来た労働者が「会社との面談で社労士から~と言われた」とか労働組合から「団体交渉に社労士が出てきている」などと報告を受けるといった具合です。
 非弁行為に該当するか否かは法律解釈も必要で微妙な話も含まれますので、今回は、非弁行為該当性に関する議論はせず、そもそもなぜ非弁行為が禁止されるのか、労働事件への社労士の関与が及ぼす影響等についてお話しします。 続きを読む

「男性版産休」(「出生時育児休業制度」)の意義と課題/嶋﨑量(事務所だより2021年8月発行第63号掲載)

1 はじめに

 2021年6月3日、男性の育児休業取得促進のために、新たに「出生時育児休業制度」創設などを内容とする、育児・介護休業法等改正法が成立しました(*1)。
 成立時、「男性版産休」制度が成立した等新聞各紙が報じ、遅々として進まぬ男性の育休取得促進の観点から好意的な報道が目立ちます。 続きを読む