訴訟代理人になるということ/石渡豊正(事務所だより2016年1月発行第52号掲載)

news201601s 昨年は6月と10月に労働事件に関する判決言い渡しを受けました。
  6月の判決の争点は、長時間に及ぶ時間外労働の存否と固定残業手当の有効
性でした。また、10月の判決は有期雇用労働者の雇止めの事件で、労働契約
法19条1号又は2号の適否が争点でした。
  6月の判決については、時間外労働時間数が多少削られたものの、固定残業
手当は残業代の支払いとは認められないという原告の主張が認められました。
10月の判決では、労働契約法19条1号が適用され、雇止めは無効との判断
がなされました。
  いずれの事件においても、原告の主張が概ね認められ、原告と共に喜び、安
堵しました。 続きを読む

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マタハラ最高裁判決/北村理美(事務所だより2015年9月発行第51号掲載)

news201509S 昨年の夏のたよりで「マタハラ(マタニティ・ハラスメント)」についての記事を書きました。
 それから1年経った現在、「マタハラ」という言葉はあっという間に社会に浸透しました。

 平成26年10月23日、最高裁判所は、妊娠中の軽易業務への転換を「契機として」おこなった降格は「原則違法」とする判断を示しました。この最高裁判決は、マタハラ事件の判決として大きく報じられました。 続きを読む

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第90回帝国議会会議録と日本国憲法/田中誠(事務所だより2015年9月発行第51号掲載)

news201509S 最近ありとあらゆる情報がネットで入手できるようになっている。
 むろんネット情報には真偽の保証がなく、レベルもいろいろだが、発信元の性質等を注意したり、複数のソースから照らし合わせたりしていけば、かなりの精度の情報が得られる。

 日本国憲法制定過程の国会論議なども、ネットで国立国会図書館の「帝国議会会議録検索システム」などを用いれば、実際に図書館に行かなくてもつかめる。
 日本国憲法(以下「現行憲法」)が、「押しつけられた憲法」というのが、復古的改憲論者ないし最近はやりの「解釈改憲論者」の発想の根底にあると見られるが、ネットで会議録を淡々と読んでいくだけでも「押しつけられた憲法」との見方が無理筋なことがわかる。 続きを読む

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航空機騒音訴訟における将来の損害賠償請求/石渡豊正(事務所だより2015年9月発行第51号掲載)

news201509S 先日(平成27年7月30日)控訴審判決が言い渡された第4次厚木基地騒音訴訟では、将来の損害賠償請求が認められるか否かという点が一つの大きな争点となっています。
  民事訴訟法135条は「将来の給付を求める訴えは、あらかじめその請求をする必要がある場合に限り、提起することができる。」と規定しており、これが将来の給付の訴えの根拠規定となっています。
  金銭等の給付(引渡・明渡等)を求める給付の訴えには、現在の給付の訴えと将来の給付の訴えがあります。
  現在の給付の訴えとは、口頭弁論終結の時点において履行を求めることができる状態にある請求権について認容判決を求めるものです。
  それに対し、将来の給付の訴えとは、口頭弁論終結の時点においては未だ履行を求めることができる状態にまでは至っていない給付請求権について予め認容判決を求めるもので、「あらかじめその請求をする必要がある場合に限り」認められます。 続きを読む

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厚木基地騒音訴訟高裁判決勝訴/福田護(事務所だより2015年9月発行第51号掲載)

news201509S 30年以上弁護士をしていても、法廷で判決を聞くときの不安定な緊張感というのは変わらない。ましてや、弁護士1年目からかかわり続けてきた事件である。その過程では、第1次訴訟の原告側の請求を、差止めも損害賠償もことごとく棄却した1986年4月9日の東京高裁判決もあった。「もしや」という思いが、いやおうなく脳裏をよぎる。

 去る7月30日午前10時、東京高裁は、第4次厚木基地騒音訴訟について、自衛隊機の夜間の飛行差止めを命じた去年5月の横浜地裁判決を維持し、損害賠償については地裁判決と同水準の月額を、過去分だけでなく将来にわたって支払うよう、国に対して命じた。ただし、差止めも将来の賠償も2016年12月末までという期限を区切った。そして、米軍機の差止め請求については、地裁判決同様否定した。 続きを読む

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