過労死ゼロに向けて/山岡遥平(事務所だより2018年1月発行第56号掲載)

 今回は、過労死防止に向けた取り組みを紹介します。

1 神奈川過労死等を考える遺族の会が結成されました

 去る平成29年5月25日に神奈川過労死等を考える家族の会が結成されました。この団体は、過労死等防止対策推進法に基礎をおく、全国過労死を考える家族の会に繋がる団体として発足しました。

 私も立ち上げの準備から係わらせてもらったのですが、名称決定にも様々な思いがあり、「過労死等を考える家族の会」となりました「過労死等」には、過労で被災されたご存命の事案も含み、「家族の会」という名称ですが、家族の方の他、被災者ご本人も対象です。できるだけ過労死家族の会であることがわかりやすく、かつ、お亡くなりになった事案だけが対象でないことも示せる名称、ということでこうなったのです。また、被災者ご本人やそのご家族でない方でも、賛助会員もありますので、ぜひ積極的にご参加いただければと思います。

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「高等教育無償化」とは何か/西川治(事務所だより2018年1月発行第56号掲載)

 最近、「高等教育無償化」が政策課題として浮上し、注目を集めるようになっています。
 しかし、残念ながら日本ではこれまであまり注目されてこなかったテーマでもあります。

 今回は「高等教育無償化」について取り上げます。

    「高等教育」に高校は含まない!

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窃盗癖(クレプトマニア)/石渡豊正(事務所だより2018年1月発行第56号掲載)

 Tさんは、窃盗罪(万引き)で2度の執行猶予付き判決(懲役刑)を受け、しかも2度目の執行猶予は保護観察付きでした。その2度目の執行猶予中に、再び万引きを行いました。

 Tさんには数百万円もの十分な預金があります。それに対し、万引きした商品は合計約1900円。次に万引きで捕まれば懲役の実刑を受けるであろうことも理解していました。それでも万引きをしてしまったのです。得られる利益と失うものの大きさがあまりにアンバランスで、Tさんの動機はどうしても理解できません。

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「なぜ弁護士になったのですか?」/野村和造(事務所だより2018年1月発行第56号掲載)

 先日、ある顧問先労働組合から講演を頼まれました。難しい話をしてすぐに忘れられるより、組合員が弁護士を身近に感じ弁護士を利用しようと思えるような話をしようということになったのですが、委員長から、例えばなぜ弁護士になったのか、どんな事件が印象的だったかというのはどうですかと言われました。
 自分自身が問われるなかなか厳しい質問です。

  振り返るといろんなことを思い出しました。

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書評『うつ病休職』/山岡遥平(事務所だより2017年9月発行第55号掲載)

    唐突ですが、精神科医の中嶋聡先生の書いた『うつ病休職』(新潮新書、2017年)の書評を通じて、思うところを書こうと思います。

 さて、本書は、裁判でも、労災でも、医師の中でも一般的に使用されているDSMⅤやICD-10の診断方法を批判し、「経験ある精神科医」の見て取る「質的」違いを重視する(90-91頁)という、(現在においては)一種独特の考えに立っています。そして、この考えに基づき、本来「うつ病」ではない人も「うつ病」と診断する医者が増えており、その診断を利用して、使用者側も労働者側も本質的な問題から逃避し、医者すらその構造に乗っている、と主張します。また、そのような構造を回避するため、著者は抑うつ反応等を「苦悩」としてうつ病等病気と区別し、前者にはむしろより患者側に積極的な回復への取り組みを求め、それを助けるとしています。そして、苦悩の解決には、患者の「主体的決定の余裕が残されている」と著者はいいます(171頁)。

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