労働問題

  事務所開設当時(1975年)、戦後の高度経済成長が続く中、公害問題、労働問題、消費者被害などが次々と発生し、働く人々や市民の立場でそれらの社会的な問題に対応できる法律事務所が求められていました。

 そのような要請に応えたいという思いから当事務所は開設され、以来、所属弁護士は、労働者・労働組合側の代理人として、数多くの労働事件・労災事件に携わってきました。

 このように労働事件・労災事件には労働者側の代理人として携わるという方針のもと、当事務所の弁護士は、全員が日本労働弁護団にも加入し、働く人々の権利を擁護するための活動に携わってきました。

 1990年代から日本的雇用が崩れ、多くの働く人々がリストラ、雇用調整に巻き込まれる中、日本労働弁護団の雇用調整ホットライン活動にも参加し、労働者側から多くの相談を受け、かつ個々の紛争について委任を受けてきました。
 その過程で同弁護団のマニュアル作成にも携わってきました。

 また、単なる労働事件の代理人としての活動にとどまらず、積極的に働く人々の権利を擁護するための法整備に向けた活動にも携わっています。
 労働側代理人として、労働問題に関する著書・論文を執筆したり、訴訟技術向上に向けた研鑽も行っています。

  最近では所内の若手弁護士が、ブラック企業問題にも熱心に取り組んでおり、社会的にも注目されています。

 なお、ご参考のため、これまでに当事務所の所属弁護士が代理人として関与した労働事件の訴訟等における判決・命令等のうち、判例誌等に掲載されたものを、 このページの下でご紹介いたします。


  労働組合との顧問契約

  当事務所では、1975年の事務所創設以来、労働組合やその組合員が当事者となる事件も、労働組合・組合員の代理人として取り扱っています。

    労働組合が、使用者から、団体交渉拒否・不誠実団交、支配・介入、不利益取扱いなどの不当労働行為を受けた場合、労働委員会に不当労働行為救済の申立をすることができますが、その手続における代理人を務めたり、労働組合が支援する組合員の個別労使紛争や労災申請手続における代理人を務めています。IMG_3023

    また、労使間で発生した具体的問題に関して法的側面からアドバイスを行ったり、労働組合が企画する講演・学習会の講師も務めています。

    そうした活動を通じて信頼関係が生まれ、当事務所または所属弁護士と顧問契約を結んでいただいた労働組合も多数あり(単位組合、連合組合、職能別組合、企業別組合、産業別組合など)、そのような労働組合は様々な業種に及んでいます。

    顧問契約を結んでいただき、長期的な関係をもつことで、その労働組合の活動方針、組織運営、使用者との具体的な労使関係、業界動向などについて、弁護士側の理解も深まりますので、より適切な弁護活動につながります。また、労働組合からのご相談だけでなく、組合員からの個人的問題に関するご相談にも対応できますので、組合員の福利厚生にもなります。


  より詳しい解説

解 雇 
【解説】 解雇すると言われたら
【事例】 解雇事件(懲戒解雇)の事例/精神的不調による欠勤に対する諭旨退職処分(解雇)の無効
 
退職勧奨・退職強要
【解説】 辞めてほしいと言われたら
 
有期労働契約
【解説】 改正労働契約法(有期労働)を正しく理解し活用しよう(2012/8事務所だより)
 
労働条件
【解説】 労働条件はどのようにして決まるのか (合意・法令・就業規則・労働協約の関係)
【解説】 就業規則が労働者にとって不利益に変更されたら
【解説】 労働条件切り下げへの同意を迫られたら
 
残業代
【解説】 残業代による「労働時間規制」はなぜ存在するのか?-残業代ゼロ法は必要ですか-(2014/8事務所だより)
【解説】 管理職と残業代


  コラム

固定残業代は、ブラック企業が良く似合う?(2014/7嶋﨑Yahoo!ニュース掲載記事)
派遣と「ブラック企業」は大の仲良し?!(2014/3嶋﨑Yahoo!ニュース掲載記事)
近況報告/鵜飼良昭(2013/1事務所だより)


  判例誌等に掲載された労働事件

 当事務所の所属弁護士が代理人として関与した労働事件の訴訟等における判決・命令等のうち、判例誌等に掲載されたものを、ご紹介します。

(注)訴訟になっても、判決までいかずに和解で終了するものの方がはるかに多いです。
     また、判決が出ても、判例誌等に掲載されるのは、それらの中の一部です。
        弁護士が退所した場合は、当事務所在籍中に関与したものを紹介しています。
        他事務所の弁護士と共同で取り組んだ事件も含んでいます。

あんしん財団事件
遠方への配転命令について、説明等が不十分であったことを理由に配転命令について損害賠償を認容(鵜飼、嶋﨑)
東京地裁平成30年2月26日判決/労働判例1177号29頁

プロシード事件
退職した社員への損害賠償請求事案で不当訴訟による反訴損害賠償請求を認容(嶋﨑)
横浜地裁平成29年3月30日判決/労働判例1159号5頁

エヌ・ティ・ティソルコ事件
長年の更新を繰返したパート社員の雇止めを無効とした事件(石渡)
横浜地裁平成27年10月15日判決/労働判例1226号5頁

市川エフエム事件
自死した労働者の職場復帰対応に対する安全配慮義務違反を認めた損害賠償事件(嶋﨑)
千葉地裁平成27年7月8日判決/労働判例1227 号84頁

国・厚木労基署長事件(コープかながわ)事件
カウザルギー及びRSDに関する後遺障害に対する労災保険障害等級の処分取消請求事件(福田・小宮)
横浜地裁平成27年3月12日判決/労働判例1129号87頁

国(護衛艦たちかぜ【海上自衛隊員暴行・恐喝】)事件
いじめ自殺の予見可能性があったとして上司らの指導監督義務違反を認めた損害賠償請求事件(小宮)
<1審>横浜地裁平成23年1月26日判決・労働判例1023号5頁
<控訴審>東京高裁平成26年4月23日判決/労働判例1096号19頁

横河電機(SE・うつ病罹患)事件
 休職期間満了を理由の退職扱いに対する損害賠償請求事件(福田・石渡)
 <1審>東京地裁平成24年3月15日/労働判例1091号60頁
 <控訴審>東京高裁平成25年11月27日/労働判例1091号42頁

住友重機械工業(じん肺)事件
労災補償に関する当事者間の和解を公序良俗に反し無効とし損害賠償の支払いを認めた事件(嶋﨑)
横浜地裁横須賀支部平成25年2月18日判決/労働判例1073号48頁・判例時報2192号73頁

オンライン不動産事件
システムエンジニア等の整理解雇事件(嶋﨑・野村)
 横浜地裁平成23年7月28日/労働判例1042号82頁

 飛鳥交通神奈川(新横浜)事件
 不当労働行為救済申立(時間外勤務等の拒否)(嶋﨑)
 神奈川県労委命令平成23年4月13日命令/労働判例1027号94頁

 日本ヒューレット・パッカード事件
 無断欠勤等を事由とする諭旨退職処分事件(嶋﨑)
 <控訴審>東京高裁判決平成23年1月26日/労働判例1025号5頁
 <上告審>最高裁判決平成24年4月27日/労働判例1055号5頁・判例タイムズ1376号127頁・判例時報2159号142頁・平成24年度重要判例解説220頁

 ニュース証券事件
 中途採用者の試用期間途中解雇(嶋﨑・福田)
 <1審>東京地裁判決平成21年1月30日/労働判例980号18頁
 <控訴審>東京高裁判決平成21年9月15日/労働判例991号153頁

 学樹社事件
 残業代請求訴訟(福田・小宮)
 横浜地裁判決平成21年7月23日/判例時報2056号156頁

 山陽断熱事件
 不当労働行為救済申立(団交拒否)(嶋﨑・野村)
 神奈川県労委命令平成21年2月25日/労働法律旬報1706号

 労働審判/うつ病罹患を理由とする就労拒否事件(嶋﨑)
 横浜地裁平成21年(労)163号/労働判例995号

 労働審判/有期雇用の期間途中解雇事件(嶋﨑)
 横浜地裁平成21年(労)148号/労働判例983号

 日本マクドナルド事件
 店長の残業代請求訴訟(田中)
 東京地裁判決平成20年1月28日/判例時報1998号149頁・判例タイムズ1262号221頁

 横浜商銀事件
 整理解雇の効力を争った地位確認等請求訴訟(大塚)
 横浜地裁判決平成19年5月17日/労働判例945号59頁

 山田紡績事件
 整理解雇の効力を争った地位確認等請求訴訟(大塚)
 <1審>名古屋地裁判決平成17年2月23日/労働判例892号42頁
 <控訴審>名古屋高裁判決平成18年1月17日/労働判例909号5頁
 <上告審>最高裁決定平成19年3月6日/判例誌等未掲載

 アイレックス事件
 整理解雇の効力を争った地位確認等請求訴訟(大塚・田中)
 <1審>横浜地裁判決平成18年9月26日/労働判例930号68頁
 <控訴審>東京高裁判決平成19年2月21日/労働判例937号178頁

 アメリカ合衆国軍隊駐留軍等労働者解雇事件
 地位確認等請求訴訟(田中)
 <1審>判例誌等未掲載
 <控訴審>東京高裁判決平成18年12月21日/労働判例936号39頁

 JR東日本鶴見駅事件
 不当労働行為救済申立(懲戒解雇等)(大塚・福田)
 神奈川地労委命令平成6年11月30日/不当労働行為事件命令集100集439頁
 中労委命令平成15年6月4日/不当労働行為事件命令集126集855頁
 労委命令取消請求訴訟1審=東京地裁判決平成16年9月27日/判例タイムズ1173号212頁

 青山会不採用事件
 組合嫌悪を理由に新規採用を拒否したことが不当労働行為であるとした労働委員会命令についての取消請求訴訟(田中)
 <1審>東京地裁判決平成13年4月12日/労働判例805号51頁
 <控訴審>東京高裁判決平成14年2月27日/労働判例824号17頁
 <上告審>最高裁判決平成16年 2月10日/中央労働時報1032号61頁

 日本鉄道建設公団ほか(横浜人活センター・本訴)事件
 地位確認等請求訴訟(鵜飼)
 横浜地裁判決平成14年8月29日/労働判例836号43頁

 八王子信用金庫事件
 就業規則変更による賃金減額を不服とした就業規則変更無効確認等請求訴訟(大塚)
 <1審>東京地裁判決八王子支部平成12年6月28日/労働判例821号35頁
 <控訴審>東京高裁判決平成13年12月11日/労働判例821号9頁

 更生会社三井埠頭事件
 管理職に対する賃金カットを不服とした賃金請求訴訟(大塚)
 <1審>横浜地裁川崎支部判決平成12年6月9日/労働判例809号86頁
 <控訴審>東京高裁判決平成12年12月27日/労働判例809号82頁
 <上告審>最高裁決定平成13年3月21日/判例誌等未掲載

 とりせん事件
 不当労働行為救済申立(チェックオフ拒否)(大塚・田中)
 群馬地労委命令平成12年3月9日/不当労働行為事件命令集116集507頁

 JR東日本(神奈川国労バッジ)事件
 不当労働行為救済命令取消請求訴訟(野村、福田、岡部、大塚、田中)
 <1審>横浜地裁判決平成9年8月7日/労働判例723号13頁
 <控訴審>東京高裁判決平成11年2月24日/労働判例763号34頁
 <上告審>最高裁決定平成11年11月11日/労働判例770号32

 イハラケミカル工業事件
 不当労働行為救済命令取消請求訴訟(野村)
 <1審>判例誌等未掲載
 <控訴審>東京高裁判決平成10年3月16日/労働判例757号18頁
 <上告審>最高裁決定平成10年9月11日/労働判例757号17頁

 メデューム事件
 営業職の歩合給請求訴訟(大塚)
 <1審>東京地裁判決平成9年3月25日/労働判例726号66頁
 <控訴審>東京高裁判決平成9年10月16日/労働判例726号63頁

 神奈川中央交通事件
 雇用関係存続確認等請求訴訟(田中)
 横浜地裁判決平成8年7月16日/労働判例711号92頁

 大申興業事件
 整理解雇の効力を争った労働契約関係確認請求訴訟(野村)
 横浜地裁判決平成6年3月24日/労働判例664号71頁

 いすゞ自動車事件
ユニオン・ショップ協定に基づく解雇の効力を争った労働契約関係存在確認等請求訴訟(野村)
 <1審>横浜地裁判決平成2年9月11日/労働判例570号49頁
 <控訴審>判例誌等未掲載
 <上告審>最高裁判決平成4年4月28日/労働判例608号6頁

 亮正会高津中央病院(雇止め)事件
 不当労働行為救済命令取消請求訴訟(野村、福田)
 <1審>東京地裁判決平成2年6月13日/労働判例564号28頁
 <控訴審>東京高裁判決平成4年2月25日/労働判例625号67頁

 神奈川地労委(高津中央病院分会)事件
 不当労働行為救済命令取消請求訴訟(野村、福田)
 <1審>横浜地裁判決平成2年10月25日/労働判例629号145頁
 <控訴審>東京高裁判決平成3年7月18日/労働判例629号142頁

 日本鋼管鶴見製作所事件
ユニオン・ショップ協定に基づく解雇の効力を争った労働契約関係存在確認等請求訴訟(野村、鵜飼、柿内)
 <1審>横浜地裁判決昭和59年4月26日/労働判例445号76頁
 <控訴審>東京高裁判決昭和61年12月17日/労働判例487号20頁
 <上告審>最高裁判決平成元年12月21日/労働判例553号6頁

 日本鋼管事件
 不当労働行為救済命令取消請求訴訟(野村、鵜飼、柿内)
 東京地裁判決昭和63年6月30日/労働判例521号12頁

 聖マリア学園事件
 手術後6か月経過後の復職拒否についての地位保全等仮処分(柿内)
 横浜地裁決定昭和58年11月26日/労働判例424号80頁