労災」カテゴリーアーカイブ

労災支給決定に対する使用者の異議申し立て!?/山岡遥平(事務所だより2023年1月発行第66号掲載)

1 東京高裁令和4年11月29日判決

 2022年11月29日、東京高等裁判所は、労災支給決定について、使用者が取消訴訟を提起することを認めました。
 この事件は、原告会社の雇用する労働者が2015年に精神疾患に罹患し、2019年にその精神疾患が労働災害だと認められましたが、その労災認定が誤っており、違法であるから取り消されるべきであるとして、使用者である会社が訴訟を提起したものです。

続きを読む

終わらないアスベスト禍/山岡遥平(事務所だより2022年8月発行第65号掲載)

1 「静かな時限爆弾」

 石綿(アスベスト)製品の製造販売が禁止されてから16年近くがたったが、アスベスト禍はまだ終わっていません。
 まだまだ石綿が使用されている建物は多く、必要な検査や、封じ込めをしていなかったり、対策が不十分だったりすると石綿の粉じんにさらされてしまいます。石綿の恐ろしいところは、吸ってすぐに病気になるわけではないのです。
続きを読む

私の原点/青柳拓真(事務所だより2021年1月発行第62号掲載)

 初めまして。2021年1月より神奈川総合法律事務所に入所いたしました、青柳拓真(あおやぎたくま)と申します。
 生まれは福岡、育ちはシンガポール。漫画をこよなく愛好するベイスターズファンです。以後お見知りおきのほど、どうぞよろしくお願いいたします。
 私が弁護士を志すようになったのは、ある方との出会いがきっかけでした。大学2年生の春、その方はある授業の講師としていらっしゃいました。

続きを読む

『奴隷』『工場』(小説・女工哀史)/山岡遥平(事務所だより2020年8月発行第61号掲載)

 『奴隷』『工場』は、「女工哀史」で知られる細井和喜蔵(1897-1925)の小説で、作者の死後、発表されたものだ。私は、この小説を岩波文庫版(2018年10月・12月発行)で読んだ。
 作者の死後、作者の十分な校正を経ないまま、1925年と1926年に世に出ているため、構成や展開の面で不十分な点があるのは否めないし、やや俗っぽいところが多いが、今だからこそ、読んで良かったと思える小説だった。

続きを読む