面会交流は誰のためのもの/北村理美(事務所だより2015年1月発行第50号掲載)

news201501_small 離婚は、夫婦の間で成立するものですので、子どもは直接的には当事者とはなりません。しかし、言うまでもなく、両親の離婚は、良くも悪くも子どもに大きな影響を与えます。
 未成年の子どもがいる夫婦の離婚について弁護士として関わるときに、「面会交流」(子どもが離れて暮らしている父親または母親と、定期的・継続的に交流をすること)がしばしば問題となります。

 平成24年4月1日から、改正民法が施行され、未成年の子がいる父母が離婚をする場合には、面会交流や養育費の分担など、子の監護に必要な事項についても父母の協議で定めることとされ、その際には子の利益を最も優先しなければならないとされました。

 子の利益の観点からは、離婚後も、離れて暮らす親と子との間で適切な面会交流が行われることや養育費が継続して支払われることが重要であるため、予め取り決めをしておくべきであるというのがその趣旨です。つまり、面会交流は親のためのものではなく、子どものために行われる、子どもの権利なのです。

 ですが、現実はそううまく面会交流が定められるとは限りません。上述の民法改正を受けて、離婚届には、養育費の分担と面会交流についての取り決めの有無をチェックする欄が設けられましたが、取り決めをしなくても離婚はできるので、強制力があるものではありません。

 さらに、夫婦の話し合いがうまくいかず、家庭裁判所で離婚調停を行う場合には、面会交流を定めようとしますが、子どもを実際に養育している親(便宜的にここでは「母親」としますが、もちろん父親のこともあります。)が、子どもと別居している親(同じく便宜上「父親」とします。)への面会交流を強く拒んだり、逆に父親が子どもとの面会交流を拒むことがあります。

    面会交流を拒む理由は様々ですが、両親の感情的な対立から、母親が子どもを父親に会わせたくない、父親自らが子どもとは会いたくない、などと考えることも少なくありません。子どもが父親に会いたくないと言っている、として母親が面会交流を拒むこともあります。

 もちろん、子どもに対する暴力があった場合など、子の福祉のために面会交流をすべきでない場合もあります。ですが、両親の感情の対立から面会交流がなされない場合には、面会交流は親の権利ではなく、子どもの権利だということをもう一度考えて欲しいと思う場面があります。子どもは、本当は父親に会いたいのに、自分と父親が会えば、自分を育ててくれる大切な母親が傷つくことを敏感に察して、父親に会いたいとは言えません。

 両親が離婚したとしても、子どもにとってはたった一人の母親、父親に変わりはありません。両親にとっては色々なすれ違いや葛藤から、もう二度と会いたくないという人であっても、果たして子どもの立場から見たときにはどうであるのか、子どもの本当の気持ちをもう少し想像してみることが必要なのではないでしょうか。

 すぐに面会交流をすることが難しい場合もあるかもしれません。また、今は、本心がどうであれ、子どもが親に会いたくないと言っているかもしれません。ですが、親の側が、将来にわたって一切の面会交流を拒むことは、子どもにとって決して良いものではないはずです。

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