月別アーカイブ: 2015年1月

過労死防止法の施行/野村和造(事務所だより2015年1月発行第50号掲載)

news201501_small 平成26年11月1日、過労死等対策防止推進法(過労死防止法)が施行された。
 この法律は、次のような内容を持つ。
    ・国、地方公共団体の、過労死等防止対策対策推進の責務
    ・国による実態調査、調査研究等
    ・国や地方公共団体による啓発活動
    ・被災者や遺族の声の反映(過労死等防止大綱作成にあたり、意見を述べる協議会メンバーに被災者や遺族が加わる)

 この法律だけで過労死・過労自殺の予防や救済が大きく変化するわけではない。しかし、大きな第一歩である。
 神奈川過労死対策弁護団は、この施行の日、過労死防止を考える集いを持った。
 これまでの集会では考えられなかった神奈川労働局からの挨拶の後、過労死弁護団全国連絡会議事務局長の玉木弁護士の講演、家族の会の方たち、あるいは母親が過労で脳出血を起こしそのため介護士の資格をとった息子さんからの切実な話が続いた。

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面会交流は誰のためのもの/北村理美(事務所だより2015年1月発行第50号掲載)

news201501_small 離婚は、夫婦の間で成立するものですので、子どもは直接的には当事者とはなりません。しかし、言うまでもなく、両親の離婚は、良くも悪くも子どもに大きな影響を与えます。
 未成年の子どもがいる夫婦の離婚について弁護士として関わるときに、「面会交流」(子どもが離れて暮らしている父親または母親と、定期的・継続的に交流をすること)がしばしば問題となります。

 平成24年4月1日から、改正民法が施行され、未成年の子がいる父母が離婚をする場合には、面会交流や養育費の分担など、子の監護に必要な事項についても父母の協議で定めることとされ、その際には子の利益を最も優先しなければならないとされました。

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付添人の役割/石渡豊正(事務所だより2015年1月発行第50号掲載)

news201501_small 少年審判は、非行を犯したとされる少年について家庭裁判所が非行事実や要保護性(少年院送致等の保護処分の必要性)について審理するものです。弁護士は、刑事裁判では弁護人として活動し、少年審判では「付添人」として活動します。刑事裁判における弁護人の役割は、被告人の権利の擁護者ですが、少年審判における付添人については、第一次的には少年審判の目的が適正に実現されるための裁判所の協力者であり、少年の権利の擁護者、代弁者としての弁護人的役割も合わせもっているなどと言われることがあります。

 しかし、実際の少年審判においては、どのようなスタンスで少年と向き合うかは常に頭を悩ます難しい問題です。

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「裁判力」を見直そう/鵜飼良昭(事務所だより2015年1月発行第50号掲載)

news201501_small 2014年は、久しぶりに「裁判の力」を実感できた判決が相次いだ年でした。
 5月には、原発の運転差止を認めた大飯原発福井地裁判決と自衛隊機夜間飛行の差止を認めた横浜地裁判決が、10月には妊娠による簡易業務への転換を契機とする降格は均等法9条3項に違反するとしたマタハラ事件最高裁判決が、そして12月にはヘイトスピーチを断罪した1、2審判決を支持する最高裁決定が出ました。
    いずれも当事者の血のにじむような闘いに、裁判所が真正面から取り組んで答えを出した判決でした。もっとも大飯原発と厚木基地の判決は一審判決であり、国策の根幹に触れる事案ですから、高裁・最高裁の判決は決して予断を許しませんが・・・。

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残業代による「労働時間規制」はなぜ存在するのか?-残業代ゼロ法は必要ですか-/嶋﨑量(事務所だより2014年8月発行第49号掲載)

news201408_small 労働基準法は、1日8時間・1週40時間を労働時間の最低基準として定め、この最低基準に反する時間外労働に対しては、割増賃金の支払いを義務づけています(労働基準法37条)。
 この残業代に関する労働基準法37条の規定がなぜ存在するのかについては、極めて重要なのに、あまり認識されていません。
 結論からいえば、残業代の支払いを命じるこの労働基準法37条は、長時間労働を抑制して、労働者の命と健康を守り、家庭生活や社会生活の時間を確保するために存在するのです(ご存じでしたか?)。
 例えば、以下のケースで、考えてみて下さい。

  労働契約の定め・・・1日8時間労働、賃金・時給1000円
  ある日の労働時間・・・9時間労働(1時間の残業)
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