ブラック企業で働く子を持つ親ができること/北村理美(事務所だより2014年1月発行第48号掲載)

news201401_small   先日、若者の労働・貧困問題に取り組むNPO法人POSSE主催のセミナーで、体調を崩して会社を休職・退職した人、あるいはそうした子どもをもつ親を対象にして講演を行いました。

 内容としては、ブラック企業において典型的に行われている長時間労働やパワハラについて、「法律を使えばこういうことができます。」ということを、労災申請も含めてできるだけわかりやすく説明しました。

 今回のセミナーで特徴的だったのは、労働者本人だけはなく、過酷な労働環境で働く子どもを持つ親も対象にしたことです。

 近年、長時間労働や職場でのパワハラを原因として精神疾患にかかってしまったという相談は増えていたのですが、さらに最近は、自分の子どもが働き過ぎで心身ともに辛そう、もしかして自分の子どもはブラック企業で働いているのではないかという親からの相談が多く寄せられています。

 従来は子どもが休職したり退職するのは会社が悪いのではなく子どもが悪いのではないかと考える親が多かったのですが、「ブラック企業」が社会問題として広く知られることで、親の方も会社の働かせ方がおかしいのではないかと気付くようになったのではないかと考えられます。

 このように、「ブラック企業」という言葉の広がりによって、このような親の意識、ひいては社会の意識が、従来のような会社を辞めたのは労働者の我慢が足りないからだといった意識から、会社の働かせ方に疑問を持つようになったのは非常に良いことだと思います。

 実際にブラック企業で働いている当事者は、就職難の中やっと正社員として入社できた会社を辞めるわけにはいかないという考えが強く、そもそも会社の働かせ方がおかしいと気付きません。

 また、おかしいと気付いてはいても、長時間労働などで疲れ切っていて弁護士に相談しようという気力すらおきないという人もたくさんいるはずです。

 そこで、そのような限界まで働かせられて疲れ切っている子どもをみて、心配して専門家へ相談に来る親が増え、労働者が心身を壊してしまう前に専門家へとつなぐことができれば、過労死や過労自殺というものはもっと減らすことができるのではないか、ということが本セミナー開催の趣旨でした。

 ブラック企業問題を解決していくためには、なかなか声を上げられない労働者に代わり、その親や配偶者、友人など労働者からの何らかのSOSを聞き取った周囲の人々が、気軽に弁護士などの専門家に相談でき、労働者をサポートできるようにする、そのような仕組みを作っていくことが今後大切になってくるのではないかと思います。

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